2019年9月6日金曜日

【某中堅私鉄勤務の社畜鉄道マン】No,0000006「第1日目〜快速エアポートから見たJR北海道〜」

某中堅私鉄勤務の社畜鉄道マンが語る
徹底したプロ目線とビジネス感覚で斬る
今までなかった新しい旅ブログ


No,0000006
試される大地を北海道フリーパスで巡ってみた
「第1日目〜快速エアポートから見たJR北海道〜」


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◆北海道の鉄道旅行といえばこれ

快速エアポートのUシートのお供。といえばやっぱり駅弁です。流石の指定席。新幹線みたいな大きなテーブルが設置されています。新千歳空港駅には駅弁じゃないお弁当もいっぱい売ってるので。そういう意味で非常に楽しい場所の1つ。駅弁というのは「駅弁マーク」が入っている弁当のことをいうのですが、昔に比べてコンビニとかデパ地下とか駅ナカが超絶便利になった現代。残念ながら駅弁は次々に姿を消しています。無念。


足早に駅構内に入場してしまったので、今回はホームの立ち売りのおばちゃんから「鮭のルイベ漬盛り海鮮弁当」を購入することにしました。ホームで買う人は少ないのか。特急スーパーカムイ(※今では特急カムイ)が新千歳空港駅に来なくなってしまったからなのか。おばちゃんはとても寂しそう。苦笑。



開封するとこんな感じに。ちなみに「ルイベ」とは鮭のお刺身をそのまま凍らせたままの状態で料理する北海道の郷土料理。現地ならではの食に早くもテンション上がる。コンビニ弁当では作り出せない。この独特な面構え。最高です。高級な感じ。



このビジュアルに先程食べたスープカレーが速攻で消化されてしまいました。実に美味しそう。この絵。最高ですよ。そして佐藤水産さんの仕事ぶりが実に素晴らしい。駅弁マークの入っていない「ただのお弁当」のジャンルになりますが。駅弁よりも実はクオリティが最高品質。ごちそうさまでした。

◆快速エアポートに乗ってみる

旅の初日は。北海道の首都である札幌を堂々と通過して、函館本線の非電化区間である通称「山線」に乗ることを計画しています。新千歳空港から小樽まで。JR北海道の大幹線&ドル箱路線から。鄙びたローカル鉄道を経由して先ずは道南の入り口である長万部まで。途中下車なんかも織り交ぜる予定なので、非常に楽しみです。






さて。乗車する列車は。721系の快速エアポート。実は将来はだんだん貴重になってくることが予想されるため、今回の北海道旅行のトップバッターとしては極めて当たり。赤色の表示「幕」がなんだかオシャレに感じるのは気のせいでしょうか。JR北海道さんは普通車自由席がロングシートタイプの733系の導入を進めていて、自由席でも転換クロスシートになる旧型の721系を淘汰しつつあります。


歴戦の勇者たる風格。ちょっとだけくたびれた「Uシート」の紋章が旅情を掻き立てますが、実はJR北海道にとって「快速エアポート」は最大にして最強の収益源。この列車なしには経営は成り立ちません。

ちょっと昔までは快速の指定席券も320円でした。それが今は520円に。繁忙期や閑散期などの区分も無くなって、損した人と得した人の嫉妬が混在しなくなりましたが、基本的には値上げされました。

快速エアポートのUシートは日本で一番「事前の予約で買われることが少ない」指定席であると思います。直前に指定席券売機のシートマップで確認すると、1時間後の列車は軒並み「◎」の表示。要するに空席だらけということです。

でも。出発直前にはほとんど満席。これがドル箱列車たる所以でもあります。瀬戸大橋を往来する快速マリンライナーとは一味違った快速エアポートの特徴とも言えます。




札幌と新千歳空港を結ぶ快速エアポート。バス文化も根強い北海道でも、この区間については鉄道の圧倒的信頼力が勝ります。国鉄民営化の際に莫大な経営安定基金を与えられたJR北海道も毎年のように赤字決算。少しでも収入を増大させようとすると、稼げる区間の値上げが最も効果的です。

鉄道経営に携わる社畜鉄道マンの目線としても。この施策は素晴らしいと同時に。非常に勇気のいることだったと感じます。値上げすると「ある程度のお客様は逸走する」ことが定説ではありますが、快速エアポートにおける各列車の日常的混雑具合からも、一定の需要があると見込んで。大きな決断。素晴らしい経営判断であったと思います。


ただ。これだけで問題は解決しなかったのです。


15分ピッチで運転される快速エアポート。全列車が6両編成で輸送力としては抜群ですが。近年のインバウンド需要に対応するため、輸送力の増強が必要になってきました。





3両編成を1つの基準としている札幌都市圏の電車。快速エアポートの増発、増結が検討されましたが、全て検討虚しく実現が色々な理由により不可能でした。新千歳空港駅は6両編成がギリギリ停車できる長さしかホームがないので増結ができません。次の駅である南千歳までの線路は単線となっているばかりか、主な運行区間である千歳線は特急街道でかつ本州~北海道をつなぐ貨物の大動脈。列車ダイヤに実は余裕がなかったりします。なかなかの障壁が立ちはだかります。

JR北海道が考えたこと。それは。車両定員を少しでも増やすということ。


転換クロスシートの721系よりもロングシートの733系の方が1両あたりの車両定員が多い。当面は車両の更新と共に「乗れる体積の増加」で需要を吸収しようと考えたのでした。空港利用者が持つキャリーケースはクロスシートとの相性が最悪。

空港行きの快速と言いながら。札幌都市圏の速達サービスも担う快速エアポートは通勤通学客でも非常に賑わいます。千歳、恵庭、北広島、新札幌。こういった地域輸送がJR北海道の厳しい経営を支えます。


このあたりのバランスをどう取るのか。


新千歳空港から札幌に向かう快速エアポートの車中で。鉄道の経営問題を考える。鉄道を維持し快適なサービスを行うために投資を行うことは、極めて難しい経営センスが問われるといっても過言ではないのです。


鉄道は慈善事業じゃない。営利企業である以上は採算度外視という訳にはいかない。でもギリギリの選択をしながら、可能な限りステークホルダー全てが「笑顔」になる施策。これを導き出すのは至難の業であると感じます。


ウチの会社も頑張らないとな。と思う瞬間ですね。


「お客様がいっぱいで収益路線」なのに。「どうやってもこれ以上のサービスを提供すること」ができない。スマホで言い換えるなら、最新機種は余裕で作れるんだけど、回線が4Gじゃなくて3Gなので型落ちの機種を作り続ける。みたいなもんです。テレビメーカーがブラウン管のテレビをデジタル時代に作りまくるのとよく似ています。


快速エアポートにご乗車の際は。是非。JR北海道さんの目線で「鉄道をどうやって維持していくのか」について。考えてみていただけたらと思います。


空気の透き通っている秋の北海道。旅はまだまだ始まったばかり。



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2019年08月06日(火)ぐっち執筆